竹林の家
・構造規模 : 木造2階建て
・敷地面積 : 989.93u
・建築面積 : 123.58u
・延床面積 : 146.34u
・所在地 : 加西市
・施工 : 匠建築工房
・竣工 : 2017年
・撮影 : 母倉知樹

山間の小さな集落をぐるっと囲む里山の一隅、集落全体を見渡せる山裾の高台にこの家は建っています。
初めてこの地を訪れたときには、鬱蒼と生い茂った竹や雑草であたりは全体に薄暗く、どこが敷地境界なのかも判然としない状態でしたが、何度も足を運び、竹を掻き分けながら歩きまわってじっくり観察しているうちにだんだんとこの場所の特性がわかってきました。竹が揺れる気配から伝わる風の抜け方、少し高台になったこの場所だからこそ得られる眺望、背後に山があることの安心感。兼業で農業を営む住み手とそういった感覚を共有しながら、現代の農家、民家はどうあるべきか、この環境にふさわしい家の姿は一体どのようなものかを考えながら設計を進めました。
まず、いくら切ってもまたすぐに生えてくる竹、背後にそびえる雑木の里山という力強い自然に対して、伝統的な民家に見られる「ドマ」「イマ・ザシキ(ハレ)」「ダイドコ・ネマ(ケ)」という3つの要素を分解し、不整形で高低差のある敷地の形状に馴染ませながら離散的に配置し直すことで、全体の構成を決めていきました。それらの間々に屋根のかかった半屋外的な軒下空間が生まれ、自然の勢いに押し込まれない生活の領域がしっかりと確保されます。また、それら3つの領域に対応した「低い棟」、「大きい棟」、「高い棟」という3つのボリュームが集まり、自然を背景にしたひとつの風景を形成していますが、それはこの集落全体の有り様のアナロジーでもあります。
内部では、キッチンを現代版の「かまど」と読み替え、基礎と一体で立ち上げたコンクリートで作っているほか、薪ストーブを主暖房に据え、薪置き場も重要な要素として計画内に取り込みました。また主室の中心に立つ「大黒柱」は、伝統的な民家と同様にキッチンと居間の領域を区画していますが、見る角度によっては床の間の前に立つ「床柱」としての意味も重ね合わされ、意匠的にも構造的にも重要な要素として機能しています。
外部においては、このような場所で通常の造園を行ってもあまり意味がないと考え、通常のプロセスとは逆に、そこに生えている竹や木々、草をどこまで伐ってどこまで残すかを建物の計画と並行して検討していくという、引き算のランドスケープデザインを試みています。
完成するまでには多くの困難がありましたが、そこに家が建つことで、その場所の良さが初めてみんなに認識されるようになる、そのような家をつくることができたのではないかと感じています。


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