出雲路の家
・構造規模 : 木造2階建て
・敷地面積 : 700.65u
・建築面積 : 303.34u
・延床面積 : 415.91u
・所在地 : 京都市
・施工 : 野口建設
・造園:荻野寿也景観設計
・竣工 : 2016年
・撮影 : 母倉知樹

京都、東山を見渡す賀茂川沿い、街なかではなかなか得難い眺望が得られるこの恵まれた敷地を初めて訪れたときにまず思い浮かべたのが、折に触れて訪れているいくつかのお寺や町家のことでした。
比叡山、大文字山を中心とする東山の山並みを見渡す「遠景」、賀茂川の流れや堤防の並木を楽しめる「中景」、敷地の端に残された法面も取り込んだ庭を眺める「近景」。スケール感の違う3つの景色をいかに設計に取り込むかを考える上で、高山寺石水院や円通寺における借景の有り様、杉本家住宅や四君子苑における北庭と座敷の関係に大きなヒントがあると感じたのです。
諸室の配置は敷地を取り巻く周囲の環境から自ずから決まっていきました。 四季を通じて安定した光の下で庭の眺めを楽しめるようにまず北側に大きく主庭を取り、それをL型に囲うようにして道路から遠い西側に寝室を中心とするプライベート空間、東側にパブリックな性格のダイニング・キッチンを配置し、全体の骨格が決まりました。 この配置計画により建物の構成は北東側が欠き込まれる形となり、比叡山、すなわちこの街の「鬼門」方向を遠く眺めるこの住まいに求められるであろう、伝統に対する敬意が結果的に示されることになりました。
遠景に対しては、賀茂川沿いの並木と敷地に元々たっていた立派な松の木の間を縫って視線が東山の「大の字」まで抜ける場所は実は2階レベルのごく一部しかないという発見が計画を決定づける一つの鍵となり、この場所を応接室兼セカンドリビングとしました。 個室からの眺めは比叡山を切り取った一幅の絵とすべく、大屋根、下屋の屋根並みで道路を隠しつつ、元からあった松の木を取り込んで額縁に見立てています。
これらの諸室をつなぐ動線はすべて単なる廊下ではなく、書画骨董から現代アート、アンティークの家具調度品まで多岐に渡るクライアントのコレクションのための「ギャラリー」と位置づけ、全体として「大きな住宅」というよりは「小さな美術館」を計画するつもりで設計を進めました。
全体のボリュームはいくつかに分割して、周囲のスケール感から逸脱することなく陰影のある屋根並みを構成し、外構計画と合わせて地域景観の形成にも寄与することを目指しています。
構造はガレージ、駐輪スペースをRC造とし、その他は木造を主体としています。 テラス上部の深い軒の出は小屋裏にスチールのサポートを入れることで成立させていますが、伝統工法の「桔木」を現代的に解釈した組み方をしています。 またリビングの寄棟屋根にも一部スチールを使い、「合掌」の考え方を取り入れました。


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